2022年6月号「スイートコーンについて」

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スイートコーンについて
  • 鮮度・糖度

鮮度が重要な野菜の代表です。収穫後から鮮度は低下し、1日に1度落ちるともいわれていましたが、今では品種改良で糖度が高く落ちにくい品種が主流となっています。一般的に糖度は16~18度で、高いものは20度のものもあります。

採れたてを直ぐに食べるのが理想ですが、立てて品温を下げて流通させることで、呼吸消耗を抑え鮮度を保ちます。鮮度の低下に伴い包皮が萎れ、粒がへこんだりします。

購入されたら、そのまま冷蔵するよりも、ラップして電子レンジで4~5分加熱後に冷蔵したほうが甘味やうまみ・香りは落ちにくいです。

  • 種類

トウモロコシには、スイート種、ポップ種、フリント種、デント種、ワキシー種などがあります。スイート種は未成熟の食用種でスイートコーンです。粒の色で分類され、イエロー系の他にシルバー系(白)、バイカラー系、トリカラー系があります。

雄花と雌花の位置が離れていて交配の制御がしやすいことからF1の利用が他の作物に先がけて進んだ作物で、生産性や品質が高められています。

バイカラー系品種は、黄色と白色の親を掛け合わせて採種されていて、播種するF1の子供の代である種は黄色粒ですが、食べる穂は孫の代で黄色と白色粒の比率が3:1となっており、黄色が単一優性遺伝しています。

  • 分けつのはたらき

スイートコーンの地際から、1~4本の分けつが発生します。分けつは、最初は母稈から栄養を受けて生長しますが、葉が4枚ほどのころからは逆に母稈に栄養を送るようになります。 そして、基部から根が張って養水分を吸収するとともに、株の倒伏防止に役立ちます。そのため、分けつは取り除かないほうがいいです。

  • キセニア

トウモロコシは、雌穂の先から伸びた絹糸(粒の数と同じ本数)に飛んできた花粉が着いて受精し、各粒が生長する風媒花です。 スイート種に他の種類(デントコーンやポップコーンなどはスイート種に対し優性)の花粉がかかって受精するとその粒は花粉親の性質が出て、硬化したり甘くなくなります。これをキセニアといいます。同じスイート種のなかでも白は劣勢で、白色粒をもつシルバー系品種に黄色の花粉がかかって受精するとキセニアが起こってその部位は本来の白ではない黄色粒となります。絹糸の受精能力は10~15日間継続するため、半月以内で開花時期が重なる場合、異なる種類は300~500m以上離して作付ける必要があるといわれています。

  • 除房をする?

雌穂は2~3本着生し、一番上のものが大きく肥大します。下のものを取り除けば(除房)、その養分を上位の穂に回せて約5%大きくなります。

しかし、除房のときに、付け根の葉を傷めやすく、逆に雌穂肥大のマイナスとなりかねません。危険度と労力を考慮すると除房はしないほうがいいといえます。 除房するなら、房が小さい時期に細心の注意を払って行います。

  • 栽培の5つのポイント

①品種を考慮して、キセニアを生じさせない作付けをしましょう。

②早生品種ではトンネルやポリマルチなどで、地温14℃を確保し、発芽を揃え初期生育を促しましょう。

③適正量の基肥を施用します。 7葉期に第1回目の追肥をし、雌穂の分化を充実させます。雄穂の抽出始めに第2回目の追肥をするとともにそれ以降定期的に潅水することで、雌穂の肥大を促します。

④アワノメイガの被害は大きいので重点防除が必要です。上部からのぞいて雄穂が見え始める頃から収穫前まで、防除しましょう。

⑤収穫のタイミングは、絹系抽出始めから22~25日後の先端の粒が膨らんで黄色く色づいたころが適期です。試しどりして適期収穫に努めましょう。