2025年4月号「十六ささげが収穫前になると虫に食われているので対処法を教えて下さい」

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Q.十六ささげを作っていますが、収穫前になると虫に食われ穴が空いています。対処法を教えて下さい。

A.最近、発生が多くて困っているカメムシ類の被害かと思います。よく見るのはホンヘリカメムシです。登録農薬はスミチオン乳剤ですが、アブラムシ防除薬剤のアルバリン顆粒水溶剤やトレボン乳剤をアブラムシといっしょに対処します。

昨年まで暖冬続きで越冬する虫が多かったわけですが、今年は雪が降ったりして厳しい冬になりました。カメムシなど困った虫が減ってほしいものです。

カメムシは、別名「ヘコキムシ」と呼ばれるように、触れると特有の悪臭を放ちます。種類によって異なりますが、年1〜3回程度発生します。秋に成虫が室内に飛び込んでくることがありますが、越冬場所を探しているためであり、普通は落ち葉の下や皮下、壁の隙間などで成虫のまま越冬します。春先から活動を始め、成幼虫とも加害します。

カメムシの種類はとても多く、豆類・ナス科・アブラナ科を狙う種がよく見られます。カメムシは葉をかじるのではなく、針状の口を農作物に刺して養分を吸います。一見してわからない被害なので放置してしまうことが多く、いつの間にか被害が広がっている場合があります。

特に「マルカメムシ」「イチモンジカメムシ」「ホンヘリカメムシ」は豆類を好み、莢(さや)の中の実の養分を吸うため、実がならなかったり変形したりします。

ホンヘリカメムシ

ホオズキカメムシは、吸汁加害により新芽が萎れます。ピーマン、ナス、トマト、ジャガイモ、サツマイモに寄生し、ピーマンでの発生が最も多い種類です。

アオクサカメムシやミナミアオカメムシは、ゴマやトウモロコシの主要害虫で、ナス、トマト、オクラ、イチゴでも発生します。トマトでは、吸汁部を中心に果実表面が着色せず、果肉はスポンジ状となります。

アオクサカメムシ幼虫
アオクサカメムシ成虫

臭い匂いを嫌う生き物が多いせいか、カメムシには天敵があまりいません。そのため、駆除をしないと増える一方です。あらゆる植物に寄生するので、自分の農場を守っていても他の畑から流入してきます。中でもホソヘリカメムシなどは雑草が発生源となっており、畑の近くに茂みがあるとそこから農場に侵入してきます。

さて、どうやって防ぐか。面積が広い場合は不可能ですが、箸でゆっくりとつまむか、優しく押してビニール袋や空き瓶などに追い込むと良いでしょう。無理に手でつかむと臭い液を出しますよ。防虫ネットや寒冷紗を使いましょう。

カメムシを物理的に農作物に近づけなくする対策です。カメムシは飛来してきたり、地面から歩いて近づいてきたりします。地面にもそれ以外の部分にも、隙間ができないようにします。小さい個体もいるので、網目から侵入されないようなネットを選んでください。

カメムシが嫌う匂いの1つが木酢液(もくさくえき)とされています。小瓶に少量入れて作物の近くに置くか、100倍程度に薄めたものを農作物の周りに散布して使います。

やはり、切り札は農薬です。枝豆を例にしますと、開花期から豆の肥大初期まで、1~2週間間隔でアクタラ顆粒水溶剤、スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤、トレボン乳剤などを散布します。野菜によって登録農薬は違いますので、使用法も含め取扱説明書をよく読んで安全に使用してください。

悪者扱いのカメムシですが、中にはアザミウマやハダニなどの害虫を捕食するヒメハナカメムシ類などもいます。ヒメハナカメムシについては生物農薬として利用するための研究が進んでいます。

写真提供:愛知県農業総合試験