土づくりを考える
- 栽培しやすい土って?
野菜作りに良い土ってどんな土?
第一に、野菜の根が水や酸素を吸収できるように、水はけが良く水持ちが良く、通気性が良いことです。一見矛盾した内容に見えますが、土の構造を団粒構造化することで、土の中の隙間が多くなり、小さな隙間には水分が保持されて、大きな隙間を水や空気が通ります。このような団粒を発達させることが土づくりの目的の一つです。
第二に、肥料成分を蓄える力の高さです。高いと肥当たり(肥料の高濃度障害)がおきにくく、肥料切れしにくくなります。肥料成分の多くは水に溶けてイオンになるとプラスの電気を帯び、マイナスに帯電した粘土や腐植などの粒子に吸着されます。土壌溶液中に残ったイオン化した肥料成分(マイナスイオン、プラスイオンとも)は多量の降雨で下層へと流亡してしまいます。流亡しないようにマイナスの帯電を増やすのも土づくりの目的の一つで、腐植や粘土を増やすことで増えます。
第三に、多様な生物が多数生息していることです。土壌微生物は堆肥中や植物残渣などの有機物を分解し腐植を増やしてくれます。土壌微生物が出す粘液や腐植も土の粒子同士をくっつける働きをして土壌の団粒化が進みます。
そのほか栽培に関わる土の状態としては、土質があります。粘土の割合が高い粘質土は排水に難があります。耐水性があり水分を多く必要とするサトイモなどを作付けて、湿害が起きないよう排水溝を掘るなど排水に努めます。砂の割合が高い砂質土は保肥力・保水力に難があるので、栽培品目として耐乾性があり肥料を多く必要としないサツマイモやラッカセイなどを作付けて、保水管理に努めます。
この他に作土の深さも大切です。 特にダイコンやニンジンなどの根菜類では20㎝以上あることが望ましく、できるだけ深く耕します。作土の下にある下層土の排水性も栽培のしやすさに大きくかかわり、排水性が悪い場合には重機を用いた改善が必要なこともあります。
- 有機物の役割
有機物は、先に説明したような団粒構造の発達、肥料成分の保持、空気や水分の保持など土づくりの基本となる資材です。
一年間で10㎡当たり20㎏の有機物が消耗すると言われています。土の機能を維持するためには毎年その補充が必要で、土づくりのためには更なる補給が 必要となります。
- 堆肥を施用しよう
堆肥は、わらや落ち葉、家畜ふん尿などの有機物を原料とし、好気的発酵で十分に腐熟させたもので、微量要素やわずかな肥料成分も含んでいます。 畜ふん堆肥のうち発酵鶏ふんは肥料成分含量が3~8%と比較的高く、速効性の肥料と考えて利用いただいた方がいいでしょう。この地域に多い砂壌土では牛ふん堆肥を10㎡当たり20㎏施用してください。砂質土では、腐植を多く含む腐葉土と肥料成分がやや高い豚ぷん堆肥を施用したいです。 粘質土では排水性をより改善するために樹の皮を主体に作られた繊維質を多く含んだバーク堆肥を施用します。
堆肥の施用時期は、一般的に作付けの一か月前で、畑全面にまいて十分に耕します。 堆肥の量が少ない場合、土壌表面の水分保持を目的に株間の畝の表面にまいて有機物マルチとして用いることもあります。この場合、栽培後に土に混和されても施用量として少ないことから土壌改良効果は低くなります。
- 土壌の化学性を改善する資材
土の団粒構造を発達させたり、肥料成分を蓄える力を高める腐植酸を50%ほど含んだ資材に「アヅミン」があります。10㎡に必要な堆肥20㎏に含まれる腐植酸を800gで補給することができます。
他の資材に腐植酸(約20%)と粘土鉱物であるゼオライトを含んだ資材に「新ふりかけ堆肥eco」という資材があり、10㎡に必要な堆肥20㎏に含まれる腐植酸を2gで補給することができます。