2023年10月号「タマネギを考える」

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タマネギを考える

タマネギはいろんな料理に用いられる万能野菜で、貯蔵もできて長く楽しめます。 家庭菜園で作られてみえる方も多いことでしょう。

  • 植え方は?

みなさんは、実際にどのようにしてみえますか?

穴あきの黒ポリマルチを使われて、植穴からたくさんの雑草が生えて困ってみえませんか?穴のない黒ポリマルチに自分で小さな穴をあけて定植する方法を紹介します。

  • 黒ポリマルチの効果

地温を上げて生育を早めること、雑草の発生を抑制すること、土壌水分を保持すること、肥料流亡を防ぐことなどがあげられます。

植穴が大きければ、地温が上がりにくく、雑草が生えやすくなり、土壌水分も逃げやすくなるなど、穴が小さい場合よりもマルチの効果が劣ります。

  • 植え方のポイント

雑草が植穴から生えるのを少なくするためには、植穴を小さくします。 植穴が崩れないう、定植当日に植穴をあけることをお勧めします。

穴なしの黒ポリマルチに、鉛筆よりやや太い先の尖った棒で、9㎝の深さの穴をあけます。その穴に苗をそっと挿しこむだけで定植完了です。苗の周りの土を押さえ込む必要もなく、苗の根が地表面にはみ出して残っていても、 植穴は湿度が高く、比較的乾燥に強い植物のため、新たな根が発生してほとんどの株が活着します。このように乱雑な定植でもよいのはタマネギくらいです。ただ、寒さなどで枯れることがまれにありますので、細すぎる苗は用いないでください。

一度に植穴を3条あけられる植穴あけ具(条間22㎝×株間11㎝、棒は太さ8.5㎝で長さ9㎝の先の尖ったもの)を用いると省力的に植穴をあけられます。1条の道具を自作いただくといいでしょう。このように定植することで、作業時間を大幅に短縮できます。

  • 畝づくりとマルチのポイント

施肥・耕起して整地した畝を、定植1週間前までに黒ポリマルチで覆って地温を上げておき、植穴あけ具で穴をあけて苗を定植します。

タマネギの畝幅(通路を含む)は1.2mほどと他作物と比べて幅が広く、マルチは風が吹くと表面がバタついて持ち上がりやすく、そのままでは苗が抜けることがあります。そのため、敵はほんのわずかに中央が高く凹みがないように整地し、マルチは鏡のようにピンとなるよう両側の通路のマルチの押さえ土を踏み込んでください。そして、1mほどの間隔で黒ポリマルチの上に土を線状にのせてバタつかないようにします。 また、畝内部の土が乾きすぎていると、 植穴あけ具であけた穴が崩れてうまく苗を挿せないので、敵の作成時に土が適度に湿っていることも重要です。

  • 栽培の5つのポイント

①とう立ち対策: 一定の大きさになった株が低温に一定期間あうことで花芽ができ、日が長くなるととうが立ちます。定植後の初期の生育量が多かったり低温の程度が強いととう立ちしやすくなりますが、私たちがとるべき対策としては3点です。品種に応じた播種時期を守って播種して適期に定植すること、太すぎない適切な太さ(4~6㎜)の苗を定植すること、肥料切れとならないように基肥を入れ、適切な量の肥料を適切な時期に追肥し終えることです。

②追肥:マルチの上から通路に飛び散らないよう注意してばらまきます。 雨水や夜露に溶けてマルチ内に肥料成分が入ります。早生は1月上〜中旬の1回、中晩生は1月下旬と2月下旬の2回追肥します。

③潅水:2月中旬以降の球の肥大期に降雨がない日が10日も続く予報のときには、5日目ほどに潅水を行い、肥大を促します。

④防除:4月以降に発病するべと病は恐ろしい病害で、感染時期である3月中旬から薬剤防除を行います。

⑤貯蔵:貯蔵には中生か晩生の品種が望ましく、首が細くしまって大きすぎない球が、腐敗しにくいので敵してるといえます。追肥は2月までに終えて、多く施しすぎないことが重要です。球は葉の倒伏後にもしばらく肥大を続けるので、全株の倒伏後に収穫するのが普通です。ただ、貯蔵する場合には全株の半数ほどが倒伏したころに全て抜き取り、根を切断し葉は10㎝残して切り取ります。清潔な場所で、残った根がカラカラになるよう1~2週間ほど乾燥させ、腐敗菌の繁殖を抑えます。その後は、雨水や直射光が当たらない風通しの良い場所に吊るして貯蔵します。