2024年6月号「エダマメを考える」

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エダマメを考える

ビールのおつまみとして最高なエダマメ。鮮度が命でスイートコーンなどとともに産直の花形です。

時間の経過とともに味や風味が落ちていくので、枝から採ったものをすぐにゆでるのがおすすめです。

エダマメは大豆を若どりしたもので、植物としては同じものです。エダマメは畑のお肉といわれる大豆の良さを持っており、良質なタンパク質を多く含んでいます。そのタンパク質に含まれるアミノ酸の一種であるメチオニンは、アルコールの分解を助けてくれますので、ビールにピッタリです。

品種

大豆とエダマメは、それぞれに適した品種があって、その栽培に用いられます。品種は、温度で花芽が分化する早生種の夏大豆型と、短日で花芽分化する晩生種の秋大豆型、その中間の中間型(中生種)に分けられます。エダマメには主に早生~中生の品種が用いられます。晩生のなかでも黒豆(大粒の丹波黒など)は甘みが強くエダマメの中で最もおいしいと言われています。ただ、春播きには向いてません。中間型や秋大豆型の品種は春に播くと開花期が遅れて生育期間が長くなり、株ばかり大きくなってしまいます。

また、豆の外観からの分類では、緑豆(白毛豆)、茶豆、黒豆に分けられ、エダマメは白毛豆が一般的です。茶豆は、毛茸と薄皮が茶色で、独特の香りと甘みがあります。黒豆の毛茸の色は多様で、薄皮は黒かグレーです。

エダマメの品種改良は、おいしさに加えて、莢の毛茸が白色で莢の緑が鮮やかで、莢の豆数が2~3粒で大きいといった見た目の良さを重視して進められました。近年は茶豆のおいしさを持たせた茶豆風味の緑莢の白毛種が多く育成されてきています。

偉大なる根粒菌

微生物である根粒菌がエダマメの根に侵入し、増殖して根粒を形成します。根粒菌はエダマメから糖の栄養をもらう一方で、空中の窒素を固定してエダマメに与えてくれるので、窒素の施肥量が少なくてすむ、ギブ&テイクのよい共生関係にあります。リン酸が十分にあると着生が良くなりますが、窒素の施肥量が多いと根粒菌の働きが悪くなってしまうので注意してください。特に晩生品種では根粒菌が有効に働くことから基肥で必要な窒素成分量は3ℊ/㎡でよく、中生品種で6ℊ/㎡、早生品種で9ℊ/㎡ほどです。多肥では過繁茂となって着莢不良を招くことがあります。生育が順調なら追肥は不要です。草勢が弱い場合に、開花期に追肥(窒素成分量2~3g/㎡)を施します。

栽培の5つのポイント

①播種時の土壌水分

播種した種子は過湿で腐敗しやすく、乾燥では発芽の不揃いや欠株を招きやすいので水の与え方が重要です。床土は地温を25℃(10℃以下では発芽不良に)を目標に保温し、潅水して湿らせておきます。播種して覆土後の潅水はせず床土の水分で発芽させます。発芽したらかん水しますが、子葉展開後のかん水は胚軸や節間が伸びやすいので控えめとします。

②株間

適正な株間は株のできやすさで大きく異なり、早生種では15~20㎝、中生種では20~25㎝、晩生種では45~60㎝です。

③大切な潅水

エダマメは意外に水分を多く必要とし、3つの大事な時期があります。 一つ目は定植時で苗の活着をスムーズにさせます。二つ目は花芽の分化期前後で、三つめは開花~莢の肥大初期です。降雨量が少ない場合には、潅水して水分を補いましょう。

④温度

寒い時期にはトンネル栽培とし、花芽の分化期に15℃以上の温度を確保して、正常に花芽分化させましょう。トンネル栽培では、開花期以降に高温障害による不稔や葉焼けをおこさないよう25℃目標で温度管理をしましょう。

⑤その他の管理

中生から晩生の品種では、株が大きくなるので、倒伏しやすいです。その対策として株元への土寄せを、播種後20日ほどに子葉の上まで、播種後30日ほどに本葉第1葉の葉柄基部の下まで行います。また晩生品種では本葉の5~6枚目が開く前に、主枝を本葉4~5枚の上で摘芯すると草丈が低くなるので、倒伏防止に役立ちます。