2024年8月号「施肥料を計算しよう」

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施肥料を計算しよう

施肥が必要な理由

自然の草花は、肥料が無くても元気に育ちます。畑の野菜も肥料が無くても育ちそうなものですが、実際には十分に育ちません。これは、現代の野菜は育種が進んでいて果実など私たちが食べる部分が大きくたくさんとれるように育成されており、畑から多くの肥料成分を持ち出しているからです。また、野菜残さや落ち葉などの有機物の循環による肥料成分の補給以上に野菜の生育には多くの肥料成分が必要とされるからです。

施肥量の計算の仕方 キャベツを例に考えてみましょう。

必要な基肥の成分量は、 窒素-りん酸-加里=20-15-20 g/㎡です。
畑の面積は、 4×4=16㎡ としましょう。
16㎡の畑に必要な成分量は  窒素-りん酸-加里=320-240-320 g となります。

園芸化成特1号(窒素-りん酸-加里=14-8-13 %)を基肥の主な肥料とします。
 窒素成分を基準に計算すると 320g ÷ 0.14(この肥料の窒素%)  = 2.286㎏です。
 この2.286㎏を16㎡に施用すれば、必要な窒素を施用できます。

次に、りん酸について考えます。
 このとき畑に施されるりん酸の量は 2.286㎏ × 0.08(園芸化成特1号のりん酸%) = 183g です。
 16㎡の畑に必要なりん酸の量は240gで少し足りていません。不足量は240g -183g = 57gです。
 不足する57gを、別の肥料のBMようりん(窒素-りん酸-加里=0-20-0 %)で補うと、57 ÷ 0.2(この肥料のりん酸%) = 285gとなります。

次に、加里について考えます。
 園芸化成特1号を畑にふったときに施される加里の量は 2.286㎏ × 0.13(この肥料の加里%) = 297g です。
 16㎡の畑に必要な加里の量は320gでわずかに足りていません。不足量は320g -297g = 23gです。
 不足する23gを、別の肥料の硫酸加里(窒素-りん酸-加里=0-0-50 %)で補うと、23 ÷ 0.5(この肥料の加里%) = 46gとなります。
 この46gは施肥量を確保するための計算値で、実際に16㎡の畑に46gを施用するのは少量すぎて難しく、省いてもいいでしょう。

施肥量の目安

野菜を露地で栽培するのに、必要な肥料成分の目安は表のとおりです。
基肥量の考え方として、窒素成分を基本に考えます。地面を這うウリ類はおおよそ10ℊ/㎡で草勢が強いかぼちゃは少なくします。果菜類・スイートコーンは15ℊ/㎡で、ナス、ピーマン類は多くします。豆類は4~5ℊ/㎡で、生育圧盛な早生のエダマメやサヤインゲンは12ℊ/㎡ほどです。タマネギは18ℊ/㎡で、ネギは追肥主体で基肥は少量とします。ニンジンを除く根菜は15ℊ/㎡弱です。芋類はサトイモは多く、サツマイモは少なくといった感じです。

基肥には、ゆっくりと効く有機質の肥料や化成料を用います。栽培期間の長い野菜などは、生育に必要な肥料を数図に分けて、追肥として補います。追肥には早く効きやすい化成肥料を用い、株元から離れた位置に与え、土と混和します。主に根や果実の発育に効くりん機成分は土の中で移動しにくいため基肥として施用し、根の近くとなるように土に混和します。追肥ではりん機成分を含まない空素成分と加里成分を含んだ化成肥料を用います。そのような肥料がない場合には、りん酸成分を含んだ一般的な化成肥料で代用します。

基肥の施肥量の違いと生育

施肥量が少なすぎると野菜の葉の色が淡くなって楽が小さく草丈も低くなってしまいます。逆に施肥量が多すぎると、案の色がどす黒く大きくなりすぎて、病害にかかりやすくなり、生理害が発生しやすくなります。果菜類では栄養生長に偏ってしまって、果実がうまく着果しなかったりします。適切な生育をさせるためには、それぞれの野菜に合った施肥を行うことが大切です。